9月の星空
20250908 赤銅色に輝く 皆既月食
皆既月食 食の最大(食分 1.367) 皆既状態になると、普段は暗くて目に付きにくい みずがめ座 の恒星の数々が皆既状態の月の周りに一斉にきらめき始めた 東天を振り返ると、真夏の オリオン座 が輝いている。そのすぐ左には ふたご座 も輝いている。星の巡りは秋から冬へと移り変わりつつある 22時頃には突然の雨で赤道儀の設置を断念する。後でアメダスで確認すると時間雨量2mmだった 北の方からは雨雲が押し寄せ、どこにも北極星はない。結局朝まで稲光がずっと続き、さらに時おり雲が横切ったり、薄雲が覆うなど冷や汗ものだった。多少の降雨のおかげで少しだけながら、どんよりとした夏の空気が少し洗われた気がするので、まあよかったということにしよう 今回の皆既月食は西天で見られた。西天に山稜が邪魔をすると実質的に月入帯食となってしまう恐れがあったので、ともかく西天が地平まで開けた平野部まで下って撮影した 本影終了時は天文薄明が終わり、市民薄明(常用薄明)があと10分で始まろうとする時間帯だった 今回難しかったのは、皆既の時間帯では月の高度が低かったこと。そのため空気がよどんで靄を伴うこととなり、鮮明な月食とはなりにくかった。皆既中の月の明るさも相当暗く、暗い赤といったところで、ダンジョンのスケールで2ほどしかなかった。ターコイズフリンジも期待したほどの鮮明さでは見られなかった このあたりの問題は、次の皆既月食撮影の課題とするほかはない ところで長時間星空を眺めている時にはラジオをつけていることが多い。山中の場合は熊よけではある。深夜なのでNHKのラジオ深夜便が定番 そこで流れてくる曲が頭に残ることが多いが、この夜はなぜだか 太田裕美「九月の雨」 が夜明けまで頭の中をぐるぐると駆け巡った 「九月の雨」は1977年9月1日にリリースされている。私は卒業を半年後に控えて、卒論の最終段階で四苦八苦していた。大学4年の秋だった あれから時は流れたが、歳だけ重ねた自分の成長を問われると、面はゆい ---------------------------------------------------- SONY α7RM5 + FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS 2025年09月08日03時12分 |
皆既状態の月 と 周りできらめく みずがめ座 の星々 みずがめ座はラテン語では Aquarius 。プトレマイオス(トレミー)の48星座の1つで、現代の88星座の1つでもある。また黄道12星座の1つであることから、星占いなどで馴染みが深い 上の星図の Aqr はみずがめ座 をさす 2等星以上の明るい星が1つもない暗い星座なので、月が出ていたら存在にも気づかないと思われる 皆既月食ならではの暗い星空が、みずがめ座の星々のきらめきを見せた 恒星 81Aqr (みずがめ) HIP113674 が 6.23等 恒星 83Aqr (みずがめ) HIP113996 が 5.44等 上の写野に見る恒星の中では明るい方である 皆既中に流星が流れないか期待して星空を見上げ続けたが、そう上手くはいかなかった |
月と取り巻く星々の日周運動 薄雲が覆ったり、時々雲が横切ったり、さらには撮影の間はずっと稲光が光っていて、条件はよくなかった 西の低空には靄が立ちこめているが、月はぎりぎりその上で本影を終了した 上は西天の画像。日周運動によって、天体は左上から右下へと移動している 惑星の土星(Saturn)は0.6等と、写野の中では明るく輝いている。ここには見えないが土星のすぐ上には海王星がある、はず。土星は9月8日日没後には明るく輝き、満月過ぎの月と大接近した。残念ながら雲が多くて眼視確認にとどまった フォーマルハウトは みなみのうお座 の1等星 PsAは みなみのうお座 を表す略符で、ラテン語 Piscis Austrinus( ピスキス・アウストリヌス)に由来する Cetは くじら座 の略符で、ラテン語の Cetus(ケートス) に由来する みなみのうお座 も くじら座 もプトレマイオス(トレミー)の48星座の1つ ---------------------------------------------------- SONY α7M4 + FE 20mm F1.8 G 2025年09月08日 5分間のインターバル撮影画像を合成 |
2025年9月8日 皆既月食データ |
(食分) | ||
0h26.9m | 半影開始 | 0 |
1h26.8m | 本影開始 | 0 |
2h30.4m | 皆既開始 | 1 |
3h11.8m | 食の最大 | 1.367 |
3h53.2m | 皆既終了 | 1 |
4h56.9m | 本影終了 | 0 |
5h56.6m | 半影終了 | 0 |
20250908 皆既月食 地球の影を基準に合成 15分間のインターバルで撮影した画像を、食の最大時を中心に、地球の影に合わせて合成 皆既状態となった瞬間に月の周囲にみずがめ座の恒星が輝きだした 今回は西天の月食で高度が低かったため、西天が広く見渡せる美濃平野部まで出て撮影した。22時過ぎの降雨の後には淀んだ空気が一掃されて、残暑の空気が少しだけ秋めいた空気へと一変した。暗いみずがめ座の恒星が一斉に輝きだしたのは、見事だった 次の皆既月食は2026年3月3日。宵の口から夜間にかけて東天の食となるので、皆既状態では月は今回よりも高度が高い 好天に恵まれることを期待したい |